オンラインショッピングや電子申請など、インターネットにおいて安心・安全な情報通信を行うため、暗号を用いた通信プロトコル(暗号プロトコルと呼ばれます)などのセキュリティ技術が提案・利用されています。たとえば、オンラインショッピングでは、クレジットカード情報などを安全に送るため、SSL/TLS が利用されています。また、AppleとGoogleが開発した新型コロナ濃厚接触者検知アプリでは、匿名化とプライバシ保護のために共通鍵暗号AESが利用されています。このようなセキュリティ技術は専門家の手により安全性に配慮して慎重に設計される必要があります。その一方、悪意を持った利用者から他の利用者を守るなどの高度な安全性も要求されつつあることから、専門家であってもその安全性を十分に検証することは容易ではありません。実際に、広く使用されている技術に欠陥が見つかることも多くなっています。
そのような状況の中で、数理的技法(形式手法、フォーマルメソッドとも呼ばれます)を、セキュリティ技術やシステムの安全性の検証に利用する研究が活発に研究され、標準化活動においても、その成果が参照されています。本研究部会では、数理的技法を用いてセキュリティ技術やその実装の安全性を厳密に評価・検証するための研究について議論しています。
2006年に発足した FAIS (「フェイス」と読みます)は,約1年間の研究部会準備会としての活動を経て,2007年度より正式に研究部会として活動を開始しました.